オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
全体的に細く、縦のラインを強調したラインは、バックの腰部分にバラのような花のワンポイントがあり、とてもエレガントだ。
「来月あるショー用の?」
「そうなんだ」
最近、参入したという一慶のブライダル衣装は、ヨーロッパはもちろん日本でもとても人気がある。着てみたいブランドの上位にランクインしているのをなにかの雑誌で見たことがあった。
佐和子に結婚の話を振られたときには、まだ考えられないと答えた美紅だが、本心は違っていた。
自分もいつか、一慶のデザインしたウエディングドレスを着て彼と……。
抱いていた夢は、現実的に考えて実現しないだろう。なにしろ一慶はイタリアに帰るつもりでいるのだから。雑誌でそう話すくらいだから、そう遠くない未来に。
「美紅の好みとは違う?」
一慶は椅子から美紅を見上げた。
「えっ?」
「なんか浮かない顔してるから」