オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
美紅はキッチンに向かい、冷蔵庫の扉を開けた。整然と並んだ玉子や牛乳、肉類を見ているのに、いつもならパッと思い浮かぶメニューがなにひとつ出てこない。
ご飯の準備をすると宣言したくせに心ここにあらずだ。
冷蔵庫の冷気を浴びたままでいると、両脇から伸びてきた手がパタンと扉を閉めた。一慶だ。
「美紅、結婚しよう」
それは突然のプロポーズだった。
うしろから抱きしめられ、瞬間的に言葉を失う。
結婚? ……そう言ったの?
自分の耳が信じられず、そのままフリーズする。
「美紅? 聞こえないのか?」
そんなわけがない。
首をふるふると横に振ると、一慶は美紅の体を反転させて向かい合った。
「……なんで?」
「なんでって、どういう意味だよ」
一慶は眉根を寄せて険しい表情を浮かべた。