オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~

美紅はキッチンに向かい、冷蔵庫の扉を開けた。整然と並んだ玉子や牛乳、肉類を見ているのに、いつもならパッと思い浮かぶメニューがなにひとつ出てこない。
ご飯の準備をすると宣言したくせに心ここにあらずだ。

冷蔵庫の冷気を浴びたままでいると、両脇から伸びてきた手がパタンと扉を閉めた。一慶だ。


「美紅、結婚しよう」


それは突然のプロポーズだった。
うしろから抱きしめられ、瞬間的に言葉を失う。

結婚? ……そう言ったの?

自分の耳が信じられず、そのままフリーズする。


「美紅? 聞こえないのか?」


そんなわけがない。
首をふるふると横に振ると、一慶は美紅の体を反転させて向かい合った。


「……なんで?」
「なんでって、どういう意味だよ」


一慶は眉根を寄せて険しい表情を浮かべた。
< 147 / 154 >

この作品をシェア

pagetop