オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
「いっくんの引っ越しの荷物は?」
引っ越してきたのだとすれば、当然あるダンボールの山が見当たらない。
「イタリアにも家は残したままなんだ。どのみち向こうにも頻繁に行き来するだろうからね」
今日買い揃えた家具やファブリック以外のものも、日本で調達するらしい。
「美紅の部屋はこっち」
一慶の背中を追っていく。階段を三段上がった先に扉がふたつあり、その左側を開いた。
八畳くらいだろうか、ベージュのカーテンだけがかかっている。今の美紅の部屋と同じくらいだと思われるが、なにも置かれていないせいか広く感じる。
「いっくんの部屋は?」
「俺は隣」
一慶は親指を立てて壁の向こうを指した。
彼につられるようにして隣へ行くと、美紅に割り当てられた部屋の倍の広さだった。
「広いねー」
「主寝室だから」