オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
美紅は目が飛び出るかと思った。この部屋の相場でいえば、その金額でも全然足りないだろうが、とてもじゃないが美紅には払えない。
一慶がニヤッと笑う。美紅が想像通りの反応をしたか、どことなく満足げだ。
「いっくんの意地悪。そんなの払えない」
「ならいらないよ」
「でも!」
「俺がいいって言ってるだろ」
美紅の頭の上で一慶の手がポンポンと弾む。
ドキッとさせられたが、子どもをあやすのと同じ。他意はないとわかっている。
「じゃあ、ご飯。私、ご飯作る!」
家賃には程遠くても、美紅にできることといったらそのくらいだ。
「お、それはうれしいね」
一慶が満面の笑みを浮かべるから、美紅まで笑顔になる。一慶を喜ばせられる唯一の方法が料理だ。
よし、がんばろう。
心の中でひっそりと自分を鼓舞し、美紅は〝あぁやっぱりまだ一慶を好きなんだな〟と自覚させられた。