オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
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その日は、美紅と佐和子がふたりきりで過ごす最後の夜。
一慶のマンションへ行った帰りに佐和子の好きなワインを買い、チーズフォンデュの準備を整えた。チーズも佐和子の好物である。
仕事を終えて帰宅した佐和子と早速最後の晩餐だ。
「あぁおいしい。やっぱりワインは赤に限るわ」
グラスをゆらゆらと揺らしてワインの香りを楽しむ佐和子は、二杯目にして頬を赤く染めている。お酒は好きだが、あまり強いほうではない。
「こんなにおいしいご飯を食べられなくなるのは残念だなー」
「チーズフォンデュなんて調理してないから。ただ具材を切っただけだよ」
「これはそうかもしれないけど、毎日おいしいものを作ってくれてたじゃない。ほんとにありがとね」
「やだな、やめてよ、おねえちゃん」
改まって言われると照れくさい。
美紅だって、佐和子と一緒だから安心して過ごしてこられたのだから。
「それより、いっくんとのこと、もっと早く話してくれればよかったのに」