オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
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マンションのバレーサービスで呼んだ車でデパートに乗りつけ、美紅が鍋から包丁、食器類を選んでいく。一慶は隣でカート担当だ。
美紅がどれを選ぼうか迷うと、一慶がすかさず「悩むなら全部買っちゃえ」と片っ端からカートに詰め込む。美紅が「そんなに必要ないよ」と棚に戻そうとしたが、「いいから」と聞く耳を持たない。包丁にいたっては料理人かと勘違いするほど豊富な種類を揃えた。
「ついでに食料品も仕入れていくか」
「うん、そうだね」
家具を運び込んだときに覗いた冷蔵庫に入っていたのは、ビールや飲み物の類だけ。今夜の夕食の買い出しも必要だろう。
車に大量の荷物を積み込み、今度はスーパーを目指す。マンションの近くにあるそこは、美紅がいつも使っている店だ。
「いっくん、今夜なにか食べたいものある?」
「早速今日から作ってくれるとはうれしいね」
一慶が声を弾ませてカートを押す。そんなに喜ばれると俄然張りきりたくなる。報われないのに悲しい性だ。