オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~

来週、クリエーニュでは店休日を二日とって、スタッフの親睦を兼ねた小旅行を企画している。例年近場の温泉で一泊していたが、今年は緒方家、つまり一慶と晴臣の父親が所有する軽井沢の別荘へ行く予定だ。

というのも夏の終わり頃に佐和子と美紅、晴臣の三人で食事をしたときにその話になり、『それならうちの別荘を使えばいい』と晴臣が提案してきたのだ。せっかくあるからぜひ使ってほしいとまで言われ、その言葉に甘えることになった。

クリエーニュのスタッフは女性ばかり六名。美紅も昔何度か訪れた経験があるが、大きな別荘のため部屋数も問題ない。

晴臣自身もずいぶんと長い間行っていないからと、同行を希望した。別荘の持ち主の家族が一緒に行くに越したことはない。佐和子も美紅も喜んでその話に乗った。

この話にもっとも顔を輝かせたのは、紀美加と琴乃だ。
晴臣は何度かクリエーニュに顔を出したことがあり、紀美加と琴乃はその容姿端麗ぶりにうっとり。晴臣がインテリアデザイナーも兼ねた社長だと知ると、その興奮ぶりはすごかったものだ。その晴臣も一緒に行くと聞くや否や、ふたり揃って万歳三唱だった。


「緒方さんも来るなんて、なんのご褒美!?って感じですよ」
「それはよかった」


親睦を深めるのはもちろんスタッフを労うのも目的のため、紀美加たちが喜んでくれるのは佐和子側の立場にいる美紅とってもうれしい。久しぶりに別荘を訪れる美紅も楽しみであり、手を動かしながらも紀美加と部屋割りの話で大いに盛り上がった。
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