オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
ファッションセンスに富んだ佐和子には、こんな子ども騙しのようなアクセサリーを見せられない。おもちゃだと思われておしまいだ。
それは一慶だって同じ。デザイナーとして一線で活躍している彼もきっとそうだろう。
「よくできてるんだから隠す必要ないじゃないか」
「ダメ。絶対に嫌なの」
佐和子の美的センスからすれば、素人の作るアクセサリーに価値はないと考えるだろう。事実、佐和子が愛用しているジュエリーはハイブランドのものだ。
これまでこっそり作り続けてきたが、今のところ佐和子には知られていない。
顔の前で両手を合わせ、必死の形相で一慶に懇願する。
「お願い、いっくん。内緒にして。ね?」
一慶は美紅の隣にしゃがみ込み、顔を覗き込んだ。
いきなり間近で見つめられて不自然に目が泳ぐ。
「そうだな……じゃあ、俺の言うことを聞いたらいいよ」
いたずらっぽい瞳のようでいて、どことなく真剣な色が滲んでいた。