オオカミ社長と蜜夜同居～獣な彼の激しい愛には逆らえない～

新しい車だから乗り回したいのだろう。


「俺の車の助手席に一番に乗れるのを光栄に思えよ？」
「なにそれ」
「どれだけの女がそこに乗りたいと願ってることか」
「はいはい、そうですね。いっくんはモテモテだもんね」


上から目線の言葉に呆れたように言い返すのは、心の中を読まれないため。本音では最初に乗せてもらえた事実に浮かれそうだ。


「心がこもってないぞ」


一慶は不満そうに声のトーンを落とし、軽く美紅を睨んだ。


「込めてるってば。モテて大変だね」
「まぁ、モテたい相手に好かれなきゃ意味ないけどな」
「あ、だよね……。わかる」


好きな人に好きになってもらえるのは奇跡だ。
一慶への想いが成就するのは０パーセントだろうと美紅は昔から知っている。ミラクルが起こるのは限られた人たちだけだ


「ほんとにわかってるのかよ」