オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
「あ、なによ。モテないくせにって言いたいんでしょ。私だって告白くらいされるんだから」
せめて見栄をはりたい。報われることのない承認欲求でしかないけれど。
「美紅はモテなくていい」
「ひどい。一生結婚できないじゃない」
「俺がもらってやる」
「……え?」
美紅だけ時間が止まった気がした。
あまりにも驚いて、息が漏れただけのような声になる。
思わずパッと見た一慶の横顔に、別段変わった様子はない。日常となんら違わない、挨拶と同レベルの会話なのに心は大きく乱される。
「な、なにを言って……」
「仕方ないからな」
「仕方ないってなに。失礼すぎるよ。……わ、私にだって選ぶ権利があるんだから」
まるで胸の中で花火が上がったかのよう。ドンドンと弾む鼓動を制御できない。
それをごまかそうと憎まれ口になる。
ここでかわいらしく〝いっくんのお嫁さんにして〟とでも言えれば、少しは未来が変わるだろうか。