オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
冗談っぽくでもいい。言おうかどうか迷って唇がわななく。それでも胸の奥でとどまった願いは、メガトン級の重しを押しのけられない。苦しくて息が詰まりそうだった。
「そうだな」
一慶はクスンと鼻を鳴らし、その後は押し黙った。
窓の外をきらびやかな街のネオンが流れていく。
簡単なことが簡単に言えなくなるのが恋。長い間に降り積もった想いは根雪のように硬く、ちょっとやそっとじゃ動かせない。
いつか春の日差しを浴びて溶けだすのか。それとも永遠にこのままなのか。
美紅自身にもわからなかった。