オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~


「……ハルくん、気づいてたの? やだ……」


誰にも気づかれていないと思っていた。態度にも言葉にも出していない。
オロオロする美紅に晴臣は優しく笑いかけた。


「そりゃ気づくでしょ。小さい頃からずっとそばにいたからね」


あやすように美紅の頭をポンポンする。
驚くべきことを言われ、激しく動揺した。


「いっくんはおねえちゃんを好きなのにね。バカでしょ」
「一慶が佐和子を?」


晴臣が忙しなく瞬きをする。
美紅の気持ちには気づいていたくせに、兄弟の一慶の気持ちには気づかないとはどういうことか。


「揃いも揃って鈍いなぁ」
「どういう意味?」
「いったいいつになったらくっつくのかって思ってたけど、これは一生無理かもしれないな」


誰と誰がくっつくのか。晴臣の言っていることは理解不能だ。
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