オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
◇◇◇◇◇
「ねぇ、美紅は?」
一慶が最後の肉を焼いていると、ほんの一、二時間前に部屋に運んだ佐和子が両腕を広げて伸びをしながら近づいてきた。アルコールが残った目は、まだとろんとしている。
「美紅ならそっちに」
そう言いつつ、先ほどまで美紅が座っていた椅子に視線を投げかけるが、そこに彼女の姿はなかった。
「トイレじゃないのか?」
「ううん。だって私、今トイレに行ったけど美紅はいなかったもの」
「中のどこかにいるんじゃないか? 晴臣、美紅は?」
少し離れたところに座る晴臣に声をかけるが、答えは「トイレかな」と同じだった。ついさっきまで仲良くしゃべっていたではないかとイラつく。
「電話入れてみれば?」
「そうね」