オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
晴臣に見つけてもらうほうが美紅は喜ぶだろうと咄嗟に考え、駆けだそうとした足を止め、一慶は晴臣に一番を譲った。結果、晴臣が別荘まで美紅を背負い、泣きじゃくる彼女を慰めたのだ。
そのときの感情が蘇り、なんとも言えない気持ちになる。
悪いほうへ考えたくはないが、また迷子にでもなったのではないかと気持ちが急く。
別荘に戻ると晴臣たちに声をかけられた。
「美紅はいたか?」
首を横に振り、別荘の階段をひとつ飛びに駆け上がる。
「美紅!」
名前を呼びながらあらゆる部屋を覗いてみるが、やはりどこにもいない。
となるとやはり外だ。
一慶は弾かれたように別荘を飛び出した。
「おいっ、一慶」
「ちょっと探してくる」