戀〜心惹かれる彼が愛したのは地味子でした〜
「資料室に行ってきます」
その日の午後。
調べ物のために、人事部を離れ、資料室がある地下へ向かう。
はぁー…やっぱり、本当の私を知っている人のそばで猫被りながら働くの、体力消耗するなぁ…。
いつもなら資料室なんて、設備も古いし、人の出入りも少なくて、あまり寄り付きたくない場所なのだけど、今日は息抜きとしては絶好の場所だった。
資料探しながら、気分転換してこよう…。
「…地下は冷えるなぁ」
まだ4月といえども、温度管理の設備さえない資料室は床下から冷気を感じるほどに肌寒かった。
これは、長居すると風邪引くわ。
息抜きも長くはできないな、と心の中で落胆しながらも、早速資料探しに取り掛かった。