戀〜心惹かれる彼が愛したのは地味子でした〜
「3ヶ月は、結婚を待ってくれる…ってこと?」
「ああ。でも、婚約はしてもらう。双方の両親に結婚の了承を得た手前、何の結婚準備もせずにいるのは体裁が良くないんでね。一応、俺も御曹司だから、結婚して身を固める以上、ちゃんとした段取りは踏んでおかないと、周りがうるさくてたまらない」
確かに、御曹司と一般人の結婚自体、異例だ。
それを認めてくれた村雨くんサイドの親族の方々には、ちゃんとした段取りを踏むべきという村雨くんの主張に異論するつもりはない。
「でも、3ヶ月後、もし私が断ったら…」
「そんな日は来ないから安心しろ」
「ちょっと、私の気持ちを優先してくれるんじゃなかったの?!」
さっきと言ってることが違うじゃない!と反論すると、軽めのキスが降ってきた。
「優先するさ。俺が言いたいのは、この3ヶ月で彩葉を落とすってこと」
「…は?」
「3ヶ月後には、律が好き、私と結婚してって言わせてやる」
「なっ…そんなこと言うわけ…っん」
次に降ってきたキスは、最初のキスとは反対の優しく、私を包み込むようなキスだった。
何でこんな…っ
長く続くキスに、苦しさから彼の服をギュッと握ってしまった。
それがキスを受け入れたと思わせたのか、段々激しくなっていく。
「ちょっ…ま…って」
これ以上は、食われる。
そう思うほどのキスだった。
根をあげた私をようやくキスの嵐から解放してくれた村雨くんは、得意げに口角を上げた。
「はぁ…彩葉、覚悟しろよ。彩葉の頭ん中、俺でいっぱいにしてやる」
普段のモッサリ男な彼からは想像できないような色気と甘く危険な香り。
「アンタを手にするために必死な俺のように、アンタも俺に狂え。そして、溺れろ。呼吸の仕方も教えてやるから…俺を欲しろ」
「んんっ」
ああ…ダメだ。
上半身だけじゃなく、後頭部を固定された私は、彼の熱っぽく波のようなキスにすでに溺れそうになっていた。