何にもない


『席ここでいい?』

「うん、いいよ。」

『ねぇ、またそれ食べるの??』

「うん。」

『小さい頃からそればっかりだよね〜!』

「よく覚えてるね。」

『当たり前じゃん!どんだけ一緒にいると思ってんの?知らないことなんてないよ!』

「そっか。」

『幼なじみなめんなよ??』


知らないことがないんなら
僕の好きな人だって知ってるよね?


『最近、また痩せたんじゃない?』

「そうかな?」

『うん。ちゃんと食べないと!ただでさえ体弱いんだから!』

「お母さんかよ。」

『ふざけないで。ほんとに心配なんだから。』


真っ直ぐな君の瞳。
その瞳で何か言う時は本気でそう思ってる時。


「ごめん。わかった。ちゃんと食べるから。」

『月一でチェックするからね?』

「それは大丈夫。」

『えっなんでよ!!』

「めんどくさいから。」

『うわ、月一チェック決定だわ。』

「なんでだよ。」

『あっ、笑った!』

「そりゃ僕だって笑うよ。」

『昔はもっと笑ってたのにな〜。』

「今でも笑うよ。」


君の前でだけ。
苦手な笑顔も自然な笑顔に変わるんだ。


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