消えた卒業式とヒーローの叫び

「ピピピピピ、ヴーッヴーッ」

 私と日彩の呼び出しベルが振動して、机上を滑る。

 日彩が素早く二つ手に取り、椅子を倒す勢いで立ち上がった。

「吉岡先輩、大賀先輩、一緒に取りに来てもらってもいいですか?」

 誘われるがままに、二人は机に手をかけた。高い背丈が伸び、席から離れる。

「え、でもそれ私のだから……」

「お姉ちゃんは座ってて!」

 走り去るように三人は行ってしまった。

 一体何の気遣いだか。ただでさえ、他人と二人きりなんて厳しいのに。

 私は荷物を整理する振りをして、鞄の中を漁った。でも、特に整理できるほど物は入っておらず、ハンカチ、ティッシュ、携帯に財布くらいだった。

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