消えた卒業式とヒーローの叫び
第三章


 今日も動画を投稿した。


 厳しい親元で監視されながら勉強に追われる中学生が、宿題を燃やして一日思いっきり遊ぶというアニメーション。

 動画サイトの年齢層は広いが、やはり見てくれるのはそれ相応の年齢の人が多いらしい。

 まだ子供らしい純粋なコメントで溢れていた。だからこそ、時に皮肉なものもあったけれど。

 そしてまた一つ、目に付いた。

『もうすぐ死ぬ』

 まただ。この時の私は至って冷静だった。
 一体誰が死ぬというのだ。動画と全く関係がない。

 そりゃあ、主人公が後々親に叱られて心が死ぬということを言っているのかもしれないけれど。

 それにしたって、それを予言するようなコメントは他になかった。

「誰が死ぬの? 教えてください。貴方は誰ですか?」

 画面に向かって私は話しかけていた。もちろん、それに対して返ってくることはない。

 その時、肩に何かが触れるのがわかった。

『ねぇ……』

 冷凍庫の中にでも瞬間移動したように、背筋が凍る。

 ラジオから流れる砂嵐に紛れたような声を掛けられ、意を決して振り向いた。




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