消えた卒業式とヒーローの叫び
「ねぇ、お姉ちゃん!」
目が覚めると、日彩が私の布団を引き剥がしていた。眩しい光に、思わず目を細める。
「今日実力テストの日じゃないの!? それ終わったらうちの学校にも来るんでしょ! 遅刻するよ!」
見ると、時計の針は七時半を指していた。私は慌ててベッドから飛び起きる。
普段なら、こんなにも慌ただしい朝を迎えた時、夢の内容なんて一瞬で溶けていくが、『もうすぐ死ぬ』という言葉だけは、脳裏に焼き付いてどうしても離れてくれなかった。
夢の出来事なんて、何の意味もない。それでも、これほどまでに何度も似たような夢を見ると、虫の知らせなのではないかと恐怖に襲われた。