消えた卒業式とヒーローの叫び
「人生一度きりなんだから、やりたいこと沢山やって、直したい部分は直していけばいいじゃん! 今は今しか来ないんだよ!? 変わりたいなんて口だけ。
本当は一切変わる気も勇気もないから動けないだけなんでしょ!? だから行動にはしないんでしょ!?
いつまでも言い訳ばっかりして可哀想な自分に酔って、ネガティブに浸るな!」
日彩は私を押しのけるように階段を駆け上がっていった。制服の袖で涙を拭う後ろ姿が残像として残る。
私は何も言えなかった。だって日彩の言ったことは全て正しかったから。
変わりたいと願って、私は何か自ら行動に移してみただろうか。ただ自分と日彩を比較して、日彩を羨んで、勝手に八つ当たりして。
可哀想な自分に酔っているとは、正にその通りだ。
それでも私の曇った感情は晴れなくて、ただ胸の中で助けを求める。
あれだけ酷い言葉をぶつけてみても、何もスッキリしない。加えて図星まで言われてしまう始末。
「もう嫌だ……」
自分なんて大嫌いだ。
ただ日彩を傷つけた後悔しか残らなくて、私はまた自分に負荷を抱き締めさせたのだった。