消えた卒業式とヒーローの叫び



 頬がくすぐったくて、何かを払うように目が覚めた。手についたそれを見ると、生暖かい透明な水滴。それが涙と分かるまで、そう時間を必要としなかった。


 壁に時計を見ると、起きる予定時刻の十分前だったため、私はそのまま布団と別れを告げて立ち上がる。床から素足に直接伝わる冷気が、目覚まし代わりとなった。

 そこにはしっかりと家具があった。壁も、窓も、机に広がっているパソコンたちも。立ち上がり離れたはずのベッドも、消えることはない。

 どうしてこんなにも同じ夢ばかり見るのだろう。それに、いつまで経っても終わらない。延々と続きがある。

 連日のように見る同じ夢に、私は恐怖を覚え始めていた。



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