消えた卒業式とヒーローの叫び
--ピピピピッ、ピピピピッ。
音が聞こえた瞬間、私は漫画でありがちな勢いよく体を起こして起き上がるという行為をしてしまった。
そんな行動を実際に起こしてしまった自分に驚くとともに、立ちくらみのような症状で何も見えなくなる。
しばらくすると、まだ目覚めきっていない脳が、はっきりと現実を見せてくれた。
肌触りの良いパジャマ。その手元を照らす、射し込んだ日の光。そして膝の上には、しっかりと布団が被さっている。
良かった、助かった。
ぼんやりと考えたが、この夢は何かを暗示しているのだとしたら。そう思うと、現実ですら夢に侵食されているような心地になってしまい、気が気ではなかった。