思い出と未練と
峻と別れる前後には

深田との会話はより頻度を増し
より込み入ったものになっていった。


深田には峻と別れることも他に好きな人ができたことも伝えていた。


そしてその好きな人と付き合わないことも伝えていた。


そのことについて


「俺だったら絶対嫌だ
 帰るってわかってても付き合う」


って言われていた。


また私の好きな人の詮索も
より本格的なものになっていて

実際に名前を出すほどだった。


絶対にバレるわけにいかない

そう思っていた。


この頃には
深田が自分に好意を抱いていることを薄々気づいていたのだ。


だからこそ詮索して確信を持たれては困るし

それで告白されるのは一番避けたいことだった。


出会うのがもう少し早ければ

去年転校してくるのが私のクラスだったら

今年のクラスが違ったら

なんてタラレバばかり考えていた。


どうすればお互い傷付かずに済むのか
泣かないで日本に帰ることができるのか

答えが出ることはなかった。

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