暁の夕暮れ ~春の章~
1. 卯月に出会うは定めの人ぞ
アイドルとの出会い
「お、おはよう、ございます…」
「おはよう。あなたが新しく入る…」
「はい、皐結さゆいことねです」
私は、受付のお姉さんに挨拶する。
「じゃあ早速、事務所の中を案内するわね」
お姉さんはそう言うとどこかへ行き、また戻ってくる。
「ごめんなさいね、行きましょう」
「はい」
私はお姉さんの後を追って、廊下を歩き出した。
「ここが会議室、こっちは…」
そんな説明をひとしきり聞いて、私達はとある部屋に入った。
「失礼します。皐結さんを連れて来ました」
「君か。あの願書、なかなか読みごたえがあったよ」
「…は、はい?」
はて、読みごたえがあった、とは…?