暁の夕暮れ ~夏の章~
「続いて、ウォータースライダー。全長12メートル、くるくる回るカーブが特徴。このパークのイチオシです」
「てことで、乗ろう」
「乗る、っていうより滑る、ですかね」
「あ…そっか」
やっちゃった、とでもいうような笑顔をこちらに向ける。
「まぁ、行こう」
「はい」
そう返事するはずが、できなかった。
スッ、と手を取って歩き出す涼さん。
「……ん、どしたの?」
「…涼さん……手…」
「え、手?…エスコート。別にいいでしょ?」
そう言ってウィンクする。
「……今日は僕だけの、お姫様なんだから」
涼さん、何か呟いた気がしたけど…。
「気のせい、かなぁ…?」
「何がー?」
「えっ、いえ、何も…!」