暁の夕暮れ ~夏の章~

「じゃあ、滑るよ!3・2・1!」

「いぎゃぁぁああっっ!!」

 あっ、あぁ無理ムリ…!

 ヤバい、ぐるぐるしすぎて頭がぐるぐるー、って…。

「おかしくなってるよぉぉ…」

「ひゃっほーい!」

 涼さんは余裕ありげに、楽しそうに笑っている。

「ヤバい、すっごい楽しい」

「へ、平気なんですか……!?」

「うん、へーきへーき!こんなの楽しめない方がもったいないっ」

「……そっ、そうですか…」

 …いいな、うらやましい。

「…そろそろゴールだよ!」

「えっ、早くないですか……っ!」

 視界が開け、水が思い切り顔にかかる。

「っあー…冷た…」

「あはは、ことねびっしょりー」

 水がかかった私の顔を見て、涼さんが笑う。

「恥ずかしいので、やめてください」

 涼さんは虚を衝かれたように目をぱちくりとして、口を開く。

「ごめんね、許して」

「……分かりました」



      

       * * *



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