暁の夕暮れ ~夏の章~

花火大会


 次の日。

 私はスイビーの皆さんと一緒に、花火大会の会場に来ていた。

「花火デート、か…。なんか、恥ずかしい」

「大丈夫でしょ。浴衣、似合ってるよ」

「あ、ありがとうございます…」

 ここにいる理由は、花火デートをイメージした写真を撮るため。

「この写真が、CDのカバーになる訳よ」

「あと歌詞カードとか」

 なんにせよ、恥ずかしいのです、それは。

「あっ、カメラさん発見!行こうっ」

「えっ、待ってくださいっ!」




「はい、じゃあ次、涼くん」

「ことね、こっちおいで?」

「どこに行くんです?」

 その声に答えることはせず、私の手を取り歩き出す涼さん。

「涼、さん…?」

「どこに行くかなんて、どうでもいいんじゃない?」

「どうでもよくないですって…」

「…そうかな?」

 そう言いつつ、私の方を向き笑顔を見せる。

 その整ったきれいな顔を見て、私は不覚にも少しドキッとしてしまう。
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