暁の夕暮れ ~秋の章~
5. 秋の時雨に希え
雨のデート
「……雨の日、デート…ですか?」
「あぁ。この事務所のアイドルと一緒に」
「…はぁ」
秋のある日。
私は所長に呼ばれて、会議室に来ていた。
「あくまで疑似だから、よろしく」
「はい」
あー…風邪ひきそう。
「あくまでも疑似だから」
「うん、分かってる」
「本気でいろいろと、からかわないでくださいね」
「大丈夫だよ、たぶん」
その菜央さんの一言に、
「何ですかたぶんって?!」
「まぁ、いいじゃない」
ひらひらと手を振って気をそらす菜央さん。
「そういうことを言われると…ますます嫌な予感が…」
「まぁ、気にしてたら日が暮れちゃうし。さっと始めてパパっと終わらそう」
「……それを全員分受ける私は、どうなるんでしょうか…」
「あぁ、それは…まぁファイト」
「…はい、頑張ります…」
「順番、テキトーでいいって」
「じゃ、僕から」
と、冬麻さんが言う。
「ほら、行くよ」
「あっ、はい!」
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