暁の夕暮れ ~秋の章~
すると、その時。
「────…さく、や…さん?」
かすれた、小さな声が聞こえた。
「っ!あぁ…よかった…おはよう、ことね」
「……はい、おはようござい…っ」
息を詰めて咳き込むことね。
「ダメだよ、まだ寝てなくちゃ…」
「いえ…平気です」
「……そっか」
ここで張り合っても、仕方ないか。
【ことねside】
「私……」
かすれてしまう声で、質問する。
「どのくらい、寝てたんで………っ!?」
ゆっくりと傾いでいく、咲夜さんの体。
ドサッ、と音を立てて、咲夜さんが倒れる。
「さっ、咲夜さん……っ!」
どうしよう……っ、私もまだ病人だし…。
「とにかく…誰か呼ばないと…っ」
私は内線の受話器に手を伸ばす。
片っ端から全員の部屋にかけ、出てくれたのは秀也さんと冬麻さんの2人だった。