暁の夕暮れ ~秋の章~
6日後。
「咲夜、大丈夫なんですか?」
「うん、もう全快!」
咲夜さんの風邪は治って、みんなが元気になった。
「ね、ことね」
「はい?」
「ちょっと、出かけない?」
そんな提案に、私は頷く。
「はい、もちろんです」
「ことね、本当……ありがとう」
「いえ、私こそ。ありがとうございました」
「……。あのさ」
少し低めな声で、咲夜さんはそう言った。
「こう言うと、僕らしくないかもしれないけどさ…僕、君が笑顔だと僕も嬉しくて、君が泣いてると、僕も悲しくて…」
「き、急になんですか?」
「君が、好きなんだ」
私は、ハッと目を見張る。
「胸が苦しくて、仕方ないんだ…どうにかしちゃいそうなくらいに」
「……私はまだ、分からないんです。だからもう少し、待ってください」
「うん、分かった。一生でも待ち続ける」
「一生、ですか…?」
私が呟くと、
「ふふっ、冗談だよ」
と笑う咲夜さん。
でも、なんだか……。
「本当にやりかねないな、咲夜さんなら…」
私は心の中で苦笑した。