新たな恋の始まり


今日は私永井美波
22回目の誕生日。


去年の様にコソコソと
計画を練ってる様子もなく
それどころか
「後で話がある」
就業後の第3会議室に来て欲しいと
付き合ってる彼小嶋剛に呼び出された。


呼び出される理由はだいたい察している
連絡が減った
会う回数が減った
それだけじゃない
剛の見る視線が私じゃなく
他の誰か違う人に向いてること。


だからこんな日が来るのは
覚悟はしていた。


覚悟をしていたつもりでも
会議室までの階段が
一歩一歩暗闇に向かってる様で
重苦しい
こんなことならエレベーターを
使えば良かったと思った。


思い起こせば
待たされた挙句のドタキャンも
最近はあった。


付き合い始めた頃は
「今すぐ会いたい」とか
沢山色んなわがままを言っていた
しかし剛からそれを「ウザイ」と言われ
言わない様に努力した。


剛を失いたくなかったから•••。


社会人になり何もわからない私を
親切に優しく接してくれた剛。


田舎から出て来た私にとって
友達もまだ少なかった中
「付き合って欲しいと」と
言われ「はい」と二つ返事だった。


あれから1年少々
今年に入ってから
剛の態度が急変したのは確か。


だからもう別れを言われたら
それに応じるつもりでいる
もう終わりかもと思っていたから。


ただ【剛の前では絶対泣かない】
それだけを思って会議室の扉をあけた。


まだ剛は来ていなかった。


ここ食品加工会社オオタニに
入社して2年目総務課に所属。


小島剛は営業課で勤続年数4年の26歳。


朝礼後剛から
今日仕事が終わった後
会議室に来てと言われたので
わかったと返事をしたのち
「今日何の日かわかる?」
と聞いてみた。


「今日?何の日だったっけ?
わからない
そんなことより時間厳守で頼む」
と言い放った。


去年の誕生日には
サプライズをたくさんしてくれた。


どこでこんなバルーンを用意したの?
と言うくらい部屋にバルーンを浮かせて
飾り付けまでしてくれて
ホールケーキを私の好きなミッキーマウスで
デコレーションまでしてもらったりして。


でも今年は•••。


忘れられている上に
思い出そうとも何もせず
【そんなことより】とさっさと
話を終わらせた。


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