新たな恋の始まり
待ち合わせのこの第3会議室の広さは
社内で1番狭く20畳程度
長テーブルが積み重ねて置いてあり
使用する時に人数に合わせて
設置するようになっている。
隅には仕切りがあって
そこは給湯スペースとなっていて
1人用のソファーとテーブルも置いてある。
待つこと3分くらいで
ドアノブをガチャガチャとする音が聞こえた。
とうとう来た。。。
「あれ?開いてた?」が第一声。
「うん」
「昼間使って締め忘れたんかな」
「普段は会議室とか鍵かけてる?」
「かけてるよ
寝床にされたら困るし」
寝床って
ここで冗談言うかな。。。
「寝床ってそんなことする人いないでしょ
普通に考えて」
「わかんないよ」
しばらく沈黙が続く。
そして次に口を開いたのは
もちろん剛の方。
「あのさ ここに呼んだ理由は
美波と別れたいと思って」
やっぱり•••。
「どうして?」
「もう興味ないから」
興味がないと言う言葉は
想像もしてなかった言葉で
返事を返すことが
出来ないくらい衝撃だった。
やっと出たのは
「どういうこと?」だった。
すると
「田舎くさい女を本気で
相手すると思ってたわけ?」
と剛はさらに続く。
「うそ!1年前の今日私の誕生日の時
いっぱいサプライズしてくれたのも
今年に入って北海道にスキー旅行とか
興味が無いのにそんなことしてくれる?」
「去年の今日?
え?それなら今日が誕生日?
それすら忘れてたわ
あの頃はまぁ付き合ってやってもいいかな?
って思ってただけ
誕生日の日にこんなこと言って
なんか悪いけど」
悪いと思ってないのがよくよく分かって
またショックを受ける。
告白してきたのは剛の方だったのに
それすら忘れたのか?
まるで私が告白したか?の様に
【付き合ってやってもいいかと思った】
と言った。
「スキー旅行は一緒に行くはずだった人が
行かれなくなったからお前を誘っただけ」
「ひどい!!!」
「いつまでも垢抜けないお前
本気なわけないだろ」
「剛ってそんな人だった?」
「そんな人って?
昔からこうだよ」
「違う!!!あたしの知ってる剛は
そんな人じゃない!」
「ハハハ!美波が知ってるオレって
どんなオレ?」
バカ笑いが響いた。
「あたしの知ってる剛は
優しい人!
別れたいからわざと
そんな強く言ってるだけだと思う」
私の言葉に少し黙った。
すると突然
剛の携帯が鳴り始めた。