異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「悠里、大丈夫？」

「うん。ここのところ、彼の様子に違和感があったし、会う回数も減ってて、なんとなく予感はあったの」

「理香のやつ、こういうの何回目よ。もう頭にきた。私はあの子と縁を切るわ。
悠里。私、そっちに行こうか？」

「ありがとう。私は大丈夫だよ。彼とはもう、潮時だったのよ。
ああ……なんか、仕事も恋愛も対人関係も、上手くいかないなあ」

せっかく髪を切って気分を上げたかったのに、そうはさせてもらえないようだ。

「仁とは別れるわ。知れてよかった。ありがとうね」

「ううん。ねえ、近々飲みに行こうよ。愚痴でもなんでも聞くよ」

「うん。ありがとう」

よし、それまでに仁と話をつけよう。
別れる一択で。



不思議と涙は出なかった。悔しいとか、どうして……なんて感情も、今は湧いてこない。

ああ、これが私の答えだったんだって、妙に納得してしまった。