異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
昨日作ったレモンの蜂蜜漬けを持って、ライラと共に騎士達の元へ向かった。
この国の季節はよくわからないけど、今は春のように過ごしやすい。でも、騎士達のようにしっかり着込んで動いていれば、すぐに汗が吹き出してしまう。対策は必要だ。

「ブラッド様、頼まれていたレモンを持ってきました」

「ああ、ありがとう。休憩する時に配るとしよう。ジョナスに話を通しておく」

レモンをライラに託すと、私も剣を用意して騎士達に混じる。ブラッドは、他に仕事があるようで、広場を出て行った。

しばらく騎士達に混じって練習をしていると、ブラッドがクリスを伴って戻ってきた。見習い騎士達の間に、わずかに緊張が走った気がするのは気のせいだろうか。

クリスはジョナスから剣を受け取ると、素振りを始めた。彼に負けた原因を知りたくて、その姿を観察するように見つめる。
彼の腕前は、恐らく上級騎士並だ。すっと伸びた背筋に、仮想の敵を見据えた眼差しには、寸分の隙もない。強い……構えた姿だけでそれがわかる。
それに、すごい集中力だ。クリスが構えただけで、一気に緊張感が高まる。それは周りに騎士達にも伝わったようで、表情が強張る者もいた。

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