異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「うーん……」

目覚まし時計の音に、無理矢理目を開ける。
はあ……また朝がきてしまった。いつものルーティンをこなしながら、出勤の準備をして家を出る。

「おはようございます」

今日も返事はほぼなし。まあ、期待することもなくなったけど。それでもやっぱり気分は良くないし、心が苦しくもなる。

「悠里さん、おはようございます」

早々に悩みの種と出くわしてしまう。ため息を堪えつつ、表情のない顔で返す。

「滝沢先生、おはようございます」

「髪、随分と思い切ったんですね」

ショートカットになった私の頭を、まじまじと見つめてくる。そんなにじろじろ見られると、落ち着かなくなるからやめて欲しい。

「ポニーテールも素敵でしたけど、ショートカットもいいですね。可愛いです」

お礼を言う気にもなれず、軽く頭を下げる。さっさと自分の部屋へ行こうとすると、再び呼び止められる。

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