異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「ユーリ。陛下が、ユーリとの面談を希望しておられる」

その知らせは、ブラッドによって突然もたらされた。

「王太子様ではなくて?」

「ああ。ユーリの考案するメニューにして以来、ずっと伏せていらっしゃった陛下も、幾分調子を戻されているそうだ。ユーリにお礼を伝えたいとのことだ」

「お礼だなんて……」

「ともかく、これから陛下の元へ連れていく。着替えを用意させよう」

その言葉に、自身の姿に目を向ける。着ているのは、いつも通りなんの変哲もないコットンの上下だった。ライラ曰く、男性用のデザインで、動きやすさを重視した仕事着だそうだ。個人的には性別が明確でない、この楽チンな格好を気に入っている。

「着替えないと失礼ですか?」

「いや。そういうわけではないが……」

「でしたら、私、この動きやすい服のままがいいです。着替える時間があるというなら、その時間で花を摘んできてもいいですか?私のいた国では、病人を見舞う時は花など見て楽しめるものを持っていくんです」

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