異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
そうして語られた話は、そのまま受け止めてよいものか戸惑う内容だった。

およそ100年ほど前、これは書物でも確認したアシュリー王の時代だ。それから、さらに遡ること数十年前。ユーリと同じように、見慣れぬ衣服を身につけた女性を、王家が保護したという。その女性は、様々な知識を用いて、国を豊かにしていった。
時の王太子がその功績を讃え、王妃として迎え入れた。すると、女性のおかげで子孫繁栄にも恵まれ、異世界から来た女性は女神として崇められたという。

それは単に偶然が重なっただけで、全てがその女性のもたらしたものではないのかもしれない。けれど、当時の王族はそれを信じ、今後異世界からの使者が再び現れた時、他の者に女神を奪われることのないよう、書物に詳細は残さず、こうして秘密裏に王から王太子へ語り継がれているのだという。



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