異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「我々は、異世界から来たユーリを手放すわけにはいかない。現にユーリのもたらした知識で、私の病も改善しておる」

陛下の言葉に頷き返す。

「それはそうですが……もしユーリ本人が、元の世界に帰ることを望んだとしたら？」

「そうならぬようにするのが、ルイス、お前の役目だ」

陛下は、一刻も早くユーリを妃として迎え入れろと言っているのだろう。その立場を固めてしまえば、少なくともこの国の中でユーリを誰かに奪われる心配はなくなる。そしてあわよくば、ユーリ自身の中にこの国や私に対する情も湧くだろう。

「地位もあり、その容姿なら容易いことであろう」

彼女を騙すような手段を使ったとしても、ということか。
陛下の言葉に頷き返さず、曖昧な態度を示したものの、卑怯にも明確な否定もしなかった。

「女嫌いのお前でも、いつかは妃を迎え、子を成さねばならぬ。貴族の娘を娶って、さらに側室も抱えるのがよいか、ただ一人、女神を娶るか。お前なら、どうすればよいのかわかるはずだ」