異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「クリスの瞳と同じ色だわ」

グレー系の瞳を持つ者が多い中、クリスの瞳は綺麗な空色をしていた。濁りのないその瞳には、いつも強い意志が宿っている。

「ええ、そうですね。とても綺麗な色ですね」

「あの……あのね、ライラ。クリスから手紙が届いたの。明日、一緒に王都へ出かけようって」

「まあ。だからこの服なのですね」

ライラは見開いて驚きを見せたものの、すぐにその表情は嬉しそうな笑みに変わった。

「〝この〟って?」

「この国の男性は、想いを寄せる女性に、自分の瞳や髪と同じ色の物を贈るのですよ」

そう言われて、クリスの容姿を思い起こす。空色の綺麗な瞳に、柔らかそうな金色の髪。ここで出会った誰とも違う際立った風貌。まるで、王家の証というような容姿は、一度だけお会いした陛下と同じだった。

「ええっと……どういうこと……かな?」

「あなたのことお慕いしています、という意味です」

これまた嬉しそうにしているライラをジロリと睨む。

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