異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「もう、嫌だ……」

しばらく動けずにいたけれど、仕事は待ってくれない。今日中に、来月分の献立をチェックして、食事指導の必要な患者さんとの面談の用意をしないと。嫌がる体に鞭打って、仕事を始めた。

午前中に仕上げた献立のデータを、医師と婦長のチェックを受けるために提出する。午後からは別室で面談だ。自室でランチを済ませると、少し早めに面談室へ向かった。



「井川さん、献立のデータがまだ届いてないんですが?」

数件の面談を終えて戻ってくると、ナースステーションの前で婦長に呼び止められた。

「午前中にデータを送信しましたけど。ペーパーでもお届けしたのですが……」

「おかしいわねぇ。見てないわ」

「そんな……ちょっとパソコンを見てきます」

大丈夫。元のデータは手元にある。
そうわかっていても、嫌な予感がする。




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