異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「ない。ない。どうして?」

探しても探しても、午前中に保存したはずのデータが見つからない。とりあえず、婦長に報告するべきだと判断して、ナースステーションに戻る。

「すみません。手元にあるはずのデータが消えてしまっていて……」

「紙でくれたものも、その時間にいた看護師に確認したんだけど、見覚えがないって」

「そんな……」

あの時、この場にいた2人の看護師に、献立を置いておくことを告げたはずだ。まあ、返事はもらえなかったけど。

そこまで考えて、ハッとする。
まさか、捨てられたとか?私の部屋だって、鍵がかかっているとはいえ、マスターキーを使えば開けられてしまう。そして、関係者なら、マスターキーを使うことは簡単だ。

負けたくない。

「婦長。すみませんが、明日の朝まで待ってもらっていいですか?必ず提出しますから」

「ええ。それはいいけれど……井川さん、大丈夫?一部の看護師から辛く当たられてるって聞いたけど」

「……はい。大丈夫です」

「そう?何かあったら言うのよ」

「ありがとうございます」


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