異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
陛下がすっと手をあげると、それを合図に音楽が奏でられる。同時にルイスが立ち上がり、フロアに足を踏み入れた。

令嬢達はにわかに色めき立ち、我先にとルイスに声をかけ、手を伸ばそうとする。でも、ルイスは一度も足を止めることなく真っ直ぐ進んでくる。綺麗に着飾った令嬢など、見向きもしないで。

迷いなく私の元へ。

いつのまにか、ブラッドは私の後ろに下がっていた。
ルイスは私の目を見て微笑むと、片膝をついて手を差し出した。

「愛しいユーリ、私と踊っていただけませんか?」

ルイスの行動は思いもよらないものだったのか、一斉にどよめきが起こる。

「あの女はどこの者だ」
「なんてことだ。王妃の首飾りをしているぞ」
「あの王太子が、自ら女性に……ありえない」

様々な言葉が飛び交い、複雑な鋭い視線を向けられるも、今の私には見えていなかった。

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