異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
目の前にいるのは、私の愛しい人。迷うことなく、ルイスの手に自分の手を添えた。
ルイスはとろけるような笑みを向けると、立ち上がってさっと私を抱き寄せ、ホールの中央へ連れ出した。

練習したことなんて何ひとつ思い出せないのに、ルイスのリードのおかげでスムーズに踊れている。ルイスが向けてくる熱い視線から目を逸らすことなできず、キスができそうな距離で彼を見つめ返す。2人が踊りながら移動すれば、周りが勝手に道を開けていく。


一通り踊り切ると、一瞬間を置いてパラパラと拍手が起こった。それは次第に広がり、ご令嬢達も、顔を歪めながらも仕方なさそうに拍手をしている。

我に返って手を離すと、すかさずルイスに抱き寄せられた。

「信じてた。私の手を取ってくれて、ありがとう」

耳元で囁かれて、ピクリとする。顔を上げて、彼の瞳を見つめる。いまだに信じられない気持ちでいっぱいだけれど、この目はクリスのそれと寸分の違いもない。彼の言葉に、嘘偽りはない。そう確信した。

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