異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
ルイスはホールの中央で私と向き合うと、再び片膝をついて私を見つめた。周りはシーンとして、彼の動向を見守っている。抱いている感情は様々で、決して友好的なものばかりではない。むしろ、友好的な空気はほとんど感じられない。それを騎士達が鋭い視線で見回している。


「ユーリ。あなたに贈ったのは、王妃の首飾り。王妃になる者に、代々受け継がれているものだ。ユーリ、私の妃になって欲しい」


熱い眼差しで懇願されれば、この場に来てからの混乱が一気に吹き飛んでしまう。

今更恐れることがあるだろうか?
私には、差し出された手を取るのに、なんの不都合があるというのだろう。
ルイスは、私の全てを受け止めてくれている。

口元にギュッと力を込めて気を沈めると、そっとルイスの手を取った。

「よろしくお願いします」


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