異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「終わった……」
なんとか片付いたのは、23時前。今なら急がなくても終電に間に合いそうだ。
データの提出は、婦長に言われて鍵のかけられるところになっている。だからもう、さすがに大丈夫だろう。
片付けを済ませて病院を後にする頃には、心も体ももうくたくたになっていた。
「ふう……」
終電に乗って座席に座ると、思わず息を吐いた。
疲れたなあ……
なんかもう、全部が嫌だ。あんな職場、もう辞めたい。
仁とのことも、はっきりさせたい。
理香にだって、ひとこと言いたい。
一人心の中で愚痴っているうちに、睡魔に襲われてきた。ここで寝てしまったらやばい。わかってはいるんだけど……
「悠里ちゃん、悠里ちゃん」
「うん?」
「悠里ちゃん、久しぶり」
「誰?」
目の前に現れたのは、薄茶色の犬だった。
「……こむぎ?」
「そうだよ」
犬なのに、嬉しそうに微笑んでいるように見える。
「僕のこと、覚えてる?」
「もちろん」
忘れるわけがない。こむぎは私の大切な家族だったから。
なんとか片付いたのは、23時前。今なら急がなくても終電に間に合いそうだ。
データの提出は、婦長に言われて鍵のかけられるところになっている。だからもう、さすがに大丈夫だろう。
片付けを済ませて病院を後にする頃には、心も体ももうくたくたになっていた。
「ふう……」
終電に乗って座席に座ると、思わず息を吐いた。
疲れたなあ……
なんかもう、全部が嫌だ。あんな職場、もう辞めたい。
仁とのことも、はっきりさせたい。
理香にだって、ひとこと言いたい。
一人心の中で愚痴っているうちに、睡魔に襲われてきた。ここで寝てしまったらやばい。わかってはいるんだけど……
「悠里ちゃん、悠里ちゃん」
「うん?」
「悠里ちゃん、久しぶり」
「誰?」
目の前に現れたのは、薄茶色の犬だった。
「……こむぎ?」
「そうだよ」
犬なのに、嬉しそうに微笑んでいるように見える。
「僕のこと、覚えてる?」
「もちろん」
忘れるわけがない。こむぎは私の大切な家族だったから。