異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「では、なんの問題もない。
陛下、今宵は想いが通じ合った者同士ゆっくりと過ごしたいので、これで失礼させていただきます」

陛下の許可が出ると、ルイスはその場にいた人々に向けて声を発する。

「私達はこれで失礼する。どうぞ、ごゆっくり」

若干の嫌味と皮肉を織り交ぜた声音でそう言うと、私の腰の添えたままだった手に力を込めて、退室を促した。後ろからは、ブラッドがついてくる。扉の外でライラも合流したけれど、ルイスにいくつか指示を与えられると、彼女は一人違う方へ向かった。

「ルイス様」

「なんだ、ブラッド」

「どちらへ向かわれますか?」

「私の部屋へ行く」

ルイスの部屋に!?
一気に緊張が増す。それが伝わったのか、ルイスがそれまでとは打って変わって優しい声音で言う。

「少し、話がしたい。いいか?」

「は、はい」

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