異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
連れて行かれたのは、完全にプライベートの部屋のようで、奥はベッドルームになっている。入ってすぐのとても広いリビングには、ソファーとテーブルが置かれており、壁一面には本が並べられている。
ルイスがブラッドに一言二言何かを伝えると、ブラッドは部屋を出ていった。

「これで人払いはできた。さあ、ユーリ。座って」

広めのソファーに座ると、すぐ横にルイスも座った。その距離感にドキドキしてくる。

「驚いているな?」

コクリと首を縦に振れば、ルイスは愛おしそうに私を見つめ、手を握ってきた。

「すまない。身分を偽っていた。名前もな」

「どうしてそんなことを?」

「今夜、見ていて感じたと思うが……これまで、私に近付いてくる女性といえば、地位や富に目のくらんだ者ばかりだった。お互いを牽制し合い、親の地位で立場を競い合うような者達だ。長年、そんな女性達を目にしてきて、嫌気がさした私は、すっかり女性を寄せ付けなくなった」

ルイスは、私の反応を確かめながら、ゆっくりと話をした。


< 161 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop