異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

ヒューバートと共に、八百屋のようなお店を訪れた。中には、見慣れたもの、初めて見るもの、様々な食材が並べられている。興味が湧いて、店主に説明を求めた。

「お嬢さんは、料理に興味があるみたいだね。どうだい。うちで働くかい？」

なんて、陽気な店主が声をかける。
お嬢さんって……ヒューバートといい、店主といい、完全に子ども扱いしいるようだ。

「おい。うちの大切なお嬢ちゃんを引き抜かんでくれ。お坊ちゃんの大目玉を食うことになるぞ」

ヒューバートの言葉にキョトンとした店主だったけど、私に首につけられたネックレスを見てハッとすると、苦笑いを浮かべた。お坊ちゃんイコール誰のことか気が付いたようだ。

「そうか、そうか。そりゃ敵わんな。お嬢さん、城が嫌になったらおいで」

ヒューバートをはじめ、人々のこういう反応を見ると、ルイスが慕われているのがわかる。必要な時には冷淡な目を向けることもあるし、妥協を許さない厳しいところもあるけれど、それも含めて、慕われているのだろう。