異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「おじさん、聞きたいんですけど……」

ふと思い立って、声をかけた。

「なんだい、お嬢さん」

「私みたいに、食材の使い方を聞く人って多いですか？」

「そりゃあ、地方や他国から、あまり知られていないものが手に入ることもちょこちょこあるからね」

「それじゃあ、そういう食材の横に、味の特徴とか料理の仕方を書いて貼り出したらどうですか？」

「ああ、調理場で作っていたレシピだな」

ヒューバートが納得したように頷いている。

「そう。扱い方がわかれば売り上げも上がるかもしれないですし、料理が苦手な人も助かりますよ」

「なるほどなあ。うちの奥さんは料理が得意だし、いい使い方を思いつくかも知れんなあ……よし、試してみるよ」


その後も、ヒューバートに連れられるまま、数軒のお店を回って城へ戻った。


数日後、八百屋で始めたレシピの紹介が好評で売り上げも上がったうえに、客にも喜ばれていると、ヒューバートを通じてルイスに報告がされた。